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めめ報MEMEHOW

COLUMNS / ミームコインの流行サイクル 第4回

なぜRobinhood Chainなのか──GameStop事件の記憶が、チェーンの文化になった

このチェーンに並ぶ銘柄の名前を眺めていると、動物よりも先に、株式市場の言葉が目に入ります。それは偶然ではありません。5年前のある一日が、ここでは今も話題であり続けています。

先に結論

Robinhood Chainは、株式取引アプリのRobinhoodが手がけるブロックチェーンとして2026年7月1日に稼働しました(Arbitrum Orbit、Chain ID 4663)。 公式の狙いは株式などの実物資産のトークン化です。 ところが実際にこのチェーンで動いている資金の主役は、トークン化された株式ではなくミームコインでした。

そして、そこに並ぶミームコインの名前は、他のチェーンとはっきり違います。 犬や猫もいますが、それ以上に多いのが株式市場のスラング、証券会社、機関投資家をネタにした名前です。 このチェーンのミームコインは、個人投資家と証券会社の関係そのものを主題にしている—— これが他のどのチェーンにもない特徴です。

12021年1月28日という日

この文化を理解するには、5年前に戻る必要があります。

2021年1月、ゲーム販売店GameStopの株が、掲示板に集まった個人投資家によって 猛烈に買われました。空売りをしていた大手ファンドが損失を抱え、 「個人が機関投資家を負かす」という物語が世界中で報じられます。

そして2021年1月28日、Robinhoodを含む複数の証券会社が、 GameStopなど一部銘柄の買い注文を制限しました。 売ることはできるが、買うことはできない。 会社側は清算機関への担保金の要件を理由に説明しましたが、 個人投資家の多くはこれを裏切りと受け取りました。

この日の記憶は、その後も繰り返し語られ続けています。 そしてその同じ会社が、5年後にブロックチェーンを立ち上げた。 そこにミームコインを作る人々が集まったとき、 何が題材になるかは、ある意味で決まっていたと言えます。

2銘柄の名前が語っていること

めめ報がこのチェーンで観測している銘柄には、次のような系統があります (実在はいずれも当サイトのオンチェーン観測で確認、2026-09-02時点)。

証券会社・株式市場をネタにした名前
STONKBROKER、CHUMP、DONTSTOCK など。 「stonks」は株価チャートのネタ画像から広まった、わざと綴りを崩した「stocks」です。 自分たちの投機行動を自嘲する言葉が、そのまま銘柄名になっています。
機関投資家をネタにした名前
BLACKROCK など、世界最大級の資産運用会社の名を冠したもの。 運営元とは無関係の第三者が発行したトークンです。個人と機関という対立構図が、名前の選び方に表れています。
「金」そのものをネタにした名前
CASHCOW、MONEYTREE、CASHCAT など。 このうちCASHCATは、チェーン稼働初期に最も注目を集めた銘柄で、 報道によれば7日間で2,158%上昇し、時価総額はおよそ1億5,600万ドルに達しました。 ただしこれは2026年7月時点の記録です。 その後どうなったかは銘柄ページで 最新の数字を確認してください。第3回で書いたとおり、 大きくなった銘柄にはそこから先の倍率が伸びにくいという制約が働きます。
チェーンの運営元をネタにした名前
HOODHIM など。乗っている船の名前をそのままネタにしています。運営元をからかう銘柄が、その運営元のチェーンの上で取引される—— この構図自体が、この文化の性質をよく表しています。

3数字で見る現在地

稼働から2か月の状況を、報道された数値で確認します。

稼働日
2026年7月1日
Chain ID
4663(Arbitrum Orbit)
預かり資産(7月21日)
約4億9,780万ドル
預かり資産(8月末)
約7億800万ドル(前月比ほぼ倍)
1日のDEX取引高(8月下旬の記録)
約9億8,900万ドル

より示唆的なのは、チェーンの目的と実態のずれです。 報道によれば、このチェーンで最も価値のあるミームコインが 時価総額約1億5,000万ドルに達した時点で、 本来の主目的だったトークン化株式は利用者およそ65,000人・約1,300万ドルの規模でした。10倍以上の開きがあります。

規制された上場企業が、実物資産の取引基盤として立ち上げたチェーンで、 実際に最も活発なのは犬と猫と株式スラングのトークンだった—— この皮肉は、記録しておく価値があると考えています。

4今はどの段階なのか

第2回で示した4段階(道具 → 殺到 → 選別 → 周知)に当てはめると、 このチェーンは②殺到と③選別の間にあると見ています。 根拠は次のとおりです。

  • 初期に注目を集めた銘柄はすでに大きくなっている。 時価総額が1億ドルを超えた銘柄に、第3回で述べた「サイズの罠」が働きます
  • 一方で、預かり資産は1か月でほぼ倍になっており、 資金の流入自体は続いています。まだ収束していません
  • 新しい銘柄は今も日々生まれています。 めめ報の新規上場に記録しているとおりです

連載を終えて

4回にわたって、ミームコインとは何か、どんな流行があったか、 何が失敗を招いたか、そして今このチェーンで何が起きているかを見てきました。

結局のところ、この分野の面白さは人間がよく見えることにあります。 何に怒り、何を笑い、何を信じたがるのか。 それが値段という形で、毎日はっきり数字になって出てくる。 こんなに率直な市場は他にありません。

同時に、その率直さはそのまま危険でもあります。 大半はゼロになります。その事実を薄めずに置いたうえで、 それでも面白いと思える人のために、めめ報は数字を並べ続けます。 外した記録も残します。次の波が来たときに、今回何が起きたかを参照できる場所があることに意味があると考えているからです。

前の回

栄光と虚実──ラグプル、詐欺、そして「サイズの罠」