COLUMNS / データで見るRobinhood Chain 第1回
10倍までの日数が、100倍を分ける──37銘柄の到達時間を測った
「発行から何日で何倍になるのか」を、報道の引用ではなく自分で取った足で測りました。結果は直感とかなり違います。ピークは初日ではなく、1か月後でした。
先に結論
- 10倍に届いた銘柄は、発行から中央値2.6日で到達している
- 100倍に届いた銘柄は、中央値11.6日で到達している
- ピークは初日ではない。十分に観測できた12銘柄のうち、 24時間以内にピークをつけたものは0件。11件が発行から7日以降にピークをつけ、中央値は29.5日目
- 10倍に達する速さが、100倍に届くかを分けている。3日以内に10倍へ届いた23銘柄からは12件(52%)が 100倍に到達した。3日を超えてから10倍に届いた5銘柄からは0件
1どう測ったか
対象はRobinhood Chain上のミームコイン37銘柄。 いずれもプールが作られてから2時間以内に足が始まっているものだけを使いました。 遅れて観測を始めた銘柄は「発行から何日」を名乗れないので落としています。
- 起点
- プールが作られた時刻。取引が始められるようになった瞬間です。
- 基準価格は「最初の足の始値」
- 終値を使うと壊れます。実際、PONSの最初の1時間足は終値が6.0×10-18で、これを基準にすると倍率が8.8京倍という無意味な数字になりました。 プール初期化直後の一瞬の値で、誰も買えていない価格です。始値なら0.0077ドルで、これが実際の初値です。
- 倍率は終値で測る
- 高値(ヒゲ)で測れば数字は大きくなりますが、その値段では実際に売れません。 1時間の終値で測っています。
27日以上観測できた12銘柄
最大倍率の順に並べます。「現在」は2026-09-03時点で、発行時の何倍かを示します。
| 銘柄 | 最大 | 10倍 | 100倍 | ピーク | 現在 |
|---|---|---|---|---|---|
| CHUMP | 20千倍 | 1.1日 | 18.6日 | 33.9日目 | 17千倍 |
| HOOKR | 4千倍 | 0.2日 | 0.7日 | 25.2日目 | 3千倍 |
| PROLOGUE | 2千倍 | 0.0日 | 0.8日 | 16.4日目 | 2千倍 |
| JUGGERNAUT | 2千倍 | 2.4日 | 8.8日 | 11.1日目 | 573倍 |
| VAULT | 1千倍 | 0.0日 | 30.8日 | 33.7日目 | 197倍 |
| STONKBROKER | 276倍 | 1.1日 | 14.5日 | 23.9日目 | 169倍 |
| PONS | 67倍 | 39.0日 | — | 48.4日目 | 63倍 |
| CASHCAT | 56倍 | 6.7日 | — | 62.5日目 | 51倍 |
| ARROWS | 33倍 | 10.8日 | — | 15.1日目 | 5倍 |
| AI | 26倍 | 38.1日 | — | 42.4日目 | 25倍 |
| BLACKROCK | 12倍 | 2.9日 | — | 2.9日目 | 11倍 |
| CRAPCOIN | 11倍 | 44.9日 | — | 44.9日目 | 6倍 |
310倍までの速さが、その先を決めている
10倍に到達した28銘柄を、到達までの日数で2つに分けます。
3日以内に10倍
52%
23銘柄のうち12件が100倍に到達。 最大倍率の中央値は243倍
3日を超えて10倍
0%
5銘柄のうち0件。 最大倍率の中央値は33倍
100倍に到達した銘柄は、例外なく3日以内に10倍へ届いています。逆に、10倍まで3日以上かかった銘柄からは1件も出ていません。 そして10倍に一度も届かなかった9銘柄は、最大倍率の中央値が2.5倍にとどまりました。
ただし逆は成り立ちません。3日以内に10倍へ届いても、約半分は100倍に届いていないのです。 速いことは100倍の必要条件に近いが、十分条件ではない——というのが正確な読み方です。
4PONSとAIは「遅い」側だった
このチェーンで名前が知られている2銘柄——ローンチパッドのPONSと、 AI株の買付を掲げるAI(Artificial Inu)——を測ると、意外な位置に来ます。
どちらも10倍に届くまで1か月以上かかっており、100倍には到達していません。 値動きの型としては、この記事で見た「速い銘柄」とは正反対です。
ただし別の見方もできます。この2銘柄はピークからの下落が小さい—— PONSはピークから6%、AIは6%しか下げていません。 一方、急騰した銘柄には8割以上下げたものがあります(VAULT、ARROWS)。速く上がるものは速く落ち、遅く上がるものは残る傾向が見えますが、 n数が少なく、これは仮説の域を出ません。
この分析でわかっていないこと
この記事の数字には、読み違えると危険な偏りがあります。
- ① 生き残った銘柄しか測れていない(最も重要)
- 足を取っているのは、めめ報が追跡対象にした銘柄です。 発行直後にラグプルされた銘柄や、出来高がつかず消えた銘柄は、そもそもこの37件に入っていません。 「10倍に到達した銘柄が28件」という数字を、 「ミームコインの多くが10倍になる」と読まないでください。 別チェーンの調査では、発行されたトークンの98.6%が ポンプ・アンド・ダンプかラグプルに該当したという報告があります (第3回)。
- ② 母集団が小さい
- 7日以上観測できたのは12銘柄だけです。 「3日」という境界も、この12件と、まだ日が浅い銘柄を含めた37件から出た線であって、 次の10銘柄で崩れる可能性が十分あります。
- ③ まだ終わっていない銘柄が混ざっている
- 観測期間が数日しかない銘柄は、これから上がるかもしれないし、消えるかもしれません。 「ピークが29日目」という中央値は、十分に時間が経った12銘柄だけで計算しています。 全37銘柄で計算すると「初日にピーク」が多数派に見えますが、 それは観測を打ち切られた銘柄が多いために生じる錯覚です。
- ④ 発行直後の価格では、実際にはほとんど買えない
- 基準にしている「最初の足の始値」の時点では、流動性がごくわずかしかありません。 その値段でまとまった額を買うことはできません。実際に買える状態になってからだと、 倍率はこれより小さくなります。
それでも使えること
限界を並べたうえで、この分析から言えることを1つに絞るなら、次のとおりです。
発行から数日たっても10倍に届いていない銘柄が、そこから100倍になった例は、 この観測範囲にはありませんでした。
これは「早く買え」という話ではありません。むしろ逆で、すでに何日も経っていて動いていない銘柄について、 「これから大化けする」という期待を持つ根拠は、少なくともこのデータには無いという話です。 何かを買う理由にはなりませんが、買わない理由にはなります。
この観測は毎日続けています。境界が崩れたら、そのときは崩れたと書きます。見方と検証状況には、 外した予測もそのまま残しています。